飲食店向け新型コロナウイルス関連情報

現在流行している新型コロナウイルスですが、消費活動の縮小による経済的影響が深刻化しています。

特に北海道は全国的にみても消費の落ち込みがひどく、札幌で飲食業を営む皆様におかれましては、非常に難しい経営の舵取りをされていることと思います。

飲食店等の中小企業の支援策が徐々に公表されており、弊社で調べた令和2年3月2日時点の情報を記載しますので、参考にしていただければと思います。

◆目次◆

1.緊急時における資金繰りの基本的考え方
2.融資支援
(1)【札幌市】新型コロナウイルス対応支援資金
(2)【北海道】経営環境変化対応貸付
(3)【日本政策金融公庫】衛生環境激変特別貸付
3.雇用調整助成金の範囲拡大
4.休校による保護者休業の際の賃金全額補償制度
5.休業や出勤調整で従業員に休んでもらう場合
6.クラウドファンディングの活用
7.確定申告・納付期限の延長

1.緊急時における資金繰りの基本的考え

事業は赤字で存続できなくなるわけでなく、資金(キャッシュ)が尽きたときに存続できなくなります。
今回のコロナ終息時期が現時点で読めない以上、経営の観点からは融資を借りられるだけ借りておくのが正しい判断と言えます(もちろん消費者金融等のノンバンクは避けてください)。
早く終息した場合は繰上返済すればいいだけですので、利息の心配よりも制度融資を活用して目一杯借りておくのが良いと思います。

それと、固定費の中で大きなところとして、家賃の減額交渉をしてみるのも一つだと思います。
大家としては、借主である飲食店が存続できず退去されてしまっては家賃収入が入らなくなって困るという人も多いので、状況が落ち着くまでの数か月の間、家賃の減額に応じてくれる可能性も十分あるのではと思います。減額が難しい場合でも支払いを遅らせてもらうことを交渉してみてもよいと思います。

2.融資支援

札幌市や北海道、日本政策金融公庫で融資支援制度が設けられました。
内容をざっと見た限り、札幌市の支援制度が金利も1%以下と低く、信用保証料の1/2を札幌市が負担してくれることから、優先的に検討されるとよろしいと思います。
電話で確認したところ、認定書も翌営業日には発行しているとのことです。
まずは現在のメインバンクに相談されるのがよいと思いますが、弊社でも民間金融機関及び日本政策金融公庫のご紹介が可能ですのでご相談ください。

(1)【札幌市】新型コロナウイルス対応支援資金
融資対象者:新型コロナウイルスの流行による影響を受けた事業者であって、制度取扱開始後、最近1か月間の売上高等が前年同期比で10%以上減少、かつ、その後2か月間を含む3か月間の売上高等が前年同期比で10%以上減少することが見込まれる中小企業者等
融資金額:1億円以内
融資期間:10年以内(うち据置2年以内)
融資利率:年1.00%以内
URL新型コロナウイルス対応支援資金

なお、前年同期比で10%以上売上減少の要件ですが、店舗増加等により全体の売上が前年同期比で増加している事業者は、既存店で売上減少していても残念ながら対象にはならないとのことです。やや理解に苦しみますが現状ではそのように判定するようです。

(2)【北海道】経営環境変化対応貸付
北海道でも札幌市と同様の融資制度が発表されています。

融資対象者:札幌市の融資対象者と同じ
融資金額:1億円以内
融資期間:10年以内(うち据置2年以内)
融資利率:<固定金利> 5年以内 年1.0%、10年以内 年1.2%
<変動金利> 年1.0%以内 (融資期間が3年を超えるものに限る)
URL新型コロナウイルス関連肺炎の流行に伴う
中小企業向け相談窓口及び融資取扱について

(3)【日本政策金融公庫】衛生環境激変特別貸付
日本政策金融公庫でも上記と同様の貸付を行っていますが、業種が限られているのと金利が確定されていません。
融資対象者:新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来しており、次のいずれにも該当する旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方
①最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して
10%以上減少しており、かつ、今後も売上高の減少が見込まれること
②中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること
融資金額:別枠1,000万円(旅館業を営む方は、別枠3,000万円)
融資期間:7年以内(うち措置期間2年以内)
融資利率:基準利率
URL新型コロナウイルスに関する相談窓口

3.雇用調整助成金の範囲拡大

事業縮小を余儀なくされた事業者が雇用の維持を図った場合に助成される「雇用調整助成金」ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、特例措置が実施されます。
従来は中国(人)関係の売上等が1割以上減少した事業主に限られていましたが、この基準の「中国(人)関係」の部分が撤廃され、単純に売上等の生産指標が前年同期比10%以上減少
していれば条件を満たすこととなりました。

特例対象者:
・最近1か月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期比で10%以上減少
・休業等の日数が対象労働者の所定労働日数の5%以上であること※
 ※雇用保険の適用事業所単位で判定
 ※対象労働者は雇用保険の被保険者
特例措置の内容:
・休業等計画届の事後提出が可能
・生産指標の確認対象期間を3か月から1か月に短縮
・最近3か月の雇用指標が対前年比で増加していても助成対象
・事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象
助成内容:休業等を実施した場合に支給した休業手当の2/3(中小企業)
URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000602322.pdf
   https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09852.html
   https://www.mhlw.go.jp/content/000596026.pdf

例1)正社員30人・アルバイト50人(雇用保険の被保険者)、合計80人
労働日数22日×80人=会社全体の所定労働日数1,760日
   全員を2日間休ませ、正社員に6,000円/日の休業手当を支給
→休業日数160日(2日間×80人)/総労働日数1,760日≒9%≧5% ∴助成対象
 支給した休業手当6,000円/日×2日間×正社員30人×助成率2/3=240,000円助成

例2)正社員2人・アルバイト5人(雇用保険の被保険者)、合計7人
労働日数24日×7人=会社全体の所定労働日数168日
   正社員1人、アルバイト3人、合計4人を3日間休ませ、正社員に6,000円/日の休業手当を支給
→休業日数12日(3日間×4人)/所定労働日数168日≒7%≧5% ∴助成対象
 支給した休業手当6,000円/日×3日間×正社員1人×助成率2/3=12,000円助成

4.休校による保護者休業の際の賃金全額補償制度

2/29の安倍首相の会見で、子どもを持つ保護者が休業した場合の助成金を新たに創設すると表明し、具体的内容が少しずつ発表されてきました。
支給額:日額8330円を上限
対象期間:2/27~3/31
対象となる従業員:小学校、特別支援学校、学童保育、幼稚園や保育所などが臨時休業し、子どもの世話が必要になった従業員(中学生と高校生の保護者は対象外)
対象外となる勤務:テレワークなどで在宅勤務する場合、年次有給休暇を取得した場合
申請方法などの詳細はまだ公表されていませんが、企業規模や雇用形態を限定してないので広い範囲で対象となると思われます。

URL: 休校で休業、日額8330円上限に賃金全額補償 厚労省

5.休業や出勤調整で従業員に休んでもらう場合

新型コロナウイルスの影響により、従業員に休んでもらったり、お店を一時的に休業されるケースも出ているかと思います。
そのような場合に給与を支給すべきか否かの判断としては基本的に以下のとおりです。

・感染者または感染の疑いの強い者→給与(休業手当)を支払う必要なし
・上記以外(使用者の判断でお店を休みにする場合や出勤調整により従業員に休んでもらう場合)→給与(休業手当=給与の60%以上)を支払う必要あり

もちろん、有給休暇の消化の場合には通常の給与を支払わなければいけません。

下記の厚生労働省のサイトでは「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」として、ケース別に休業手当の支給の有無について記載がありますのでご興味のある方はご確認ください。
URL新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

休業手当の支給の判断が難しい場合には下記の相談窓口もあります。
北海道労働局総合労働相談コーナー 011-707-2700

6.クラウドファンディングの活用

消費者の中にはコロナ感染したら会社や家族に迷惑をかける等の理由で外食を自粛しているが、飲食店を支援したいという方も多いのではないでしょうか。
そんなときには、例えばクラウドファンディング等を使って無期限で使える食事券を販売して資金を集めるというのも一つの手だと思います。
消費者としては飲食代を前払いしているだけですので心理的な障害もさほどないと思います。
クラウドファンディング大手のCAMPFIRE社が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた事業者に対して、手数料の削減をして資金が集められるよう支援プロジェクトを発表しています。

対象者:予約キャンセルが相次ぎ来店客数が著しく減少した飲食店舗・宿泊施設
など、経営に大幅な支障をきたした事業者
支援内容:CAMPFIRE手数料12%を無料とし、決済手数料5%のみ
URL新型コロナウイルスサポートプログラム

7.確定申告・納付期限の延長

新型コロナウイルスの影響を受けて、確定申告の期限も延長されることとなりました。
この時期には大勢の人が集中して税務署を訪れることから、感染の拡大を防ぐため期限の延長に踏み切ったものです。

延長対象の申告:申告所得税、個人事業者の消費税、贈与税
申告期限、納付期限:令和2年4月 16 日(木)
URL申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限

弊社にご依頼いただいている確定申告については、従来通り3月16日までに出来る限り申告を完了させる予定です。
新型コロナウイルスの影響で、実際に資料の準備等で影響がでる方がいらっしゃいましたら個別に担当者へご相談ください。

以上となります。
極力正確な情報提供を心掛けておりますが、今回は正確性よりもスピードを重視したため、一部情報が不適切である可能性があること、ご了承いただければ幸いです。

また新たな情報等入りましたら共有させていただきます。

ご相談等ございましたらFUJITA税理士法人までお申し付けください。

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