従業員の給与計算を行う際に、課税支給額が88,000円以上の場合は、「源泉所得税」を控除していますね(甲欄の場合)。
源泉所得税とはどのような税金なのか、また、どのように計算し、どのようにその税金が流れていくのか把握されていますか?
ただ従業員から預かって、源泉所得税の納付書に記載し、納付をするとだけ考えていると、
年末調整の際の還付金で「国にも納付しているのに、従業員にも返すの?」と感じてしまうかもしれません。
今回は源泉所得税を徴収した際のお金の流れについて意訳しつつご説明します。
「所得税」「源泉徴収」とは
まず「所得税」とは
「日本国内に居住している方に対し、すべての所得に対して課せられる税金」、それが所得税です。
次に「源泉徴収」とは
「特定の所得について、その所得の支払者が支払いの時に所得税額をあらかじめ徴収し、国に納付すること」をいいます。
つまり、所得税の場合、所得税を納める義務があるのは給与所得者である従業員ですが、
従業員に代わって企業が納めるために徴収する(預かる)という意味です。
具体的な源泉所得税の流れ
例えば従業員3名から毎月各5,000円の源泉所得税を控除している場合(例なのでキリのいい数字にしています)、
かつ「納期の特例」を適用している事業所の場合、徴収・納付は以下のようになります。
1月15,000円
2月15,000円
3月15,000円
4月15,000円
5月15,000円
6月15,000円 ➡ 上期はここまでで計算。7/10までに計90,000円納付します。
7月15,000円
8月15,000円
9月15,000円
10月15,000円
11月15,000円
12月15,000円 ➡ 下期はここまで。1/20までに計90,000円納付
…というわけではありません!「年末調整」があるからです!
例えば年末調整で、従業員の「年税額」が確定し、還付額がそれぞれ以下のようになったとします。
●Aさん:60,000円還付
(5,000円×12カ月なので全額ですね。住宅ローン控除があったりすると全額還付もまれなことではないです。)
●Bさん:30,000円還付
●Cさん:10,000円還付
そうすると、企業➡従業員にお返し(還付)する金額のトータルが100,000円になります。
つまり企業が従業員に代わって国に納付する年間の源泉徴収税額は80,000円となりますね。
そうなると、これ以上今年の従業員から預かっている所得税は納付する必要がないので、1/20に90,000円納付しようとしていたもの流れに歯止めがかかり、1/20の納付金額が0円になります。
(ちなみにこの場合、税額が0円になったとしても源泉所得税の納付書を所轄の税務署に提出する義務があります。所謂「0円納付」という手続きです。)
ただここで、ひとつ疑問が残りませんか?
年間の源泉徴収税額は80,000円なのに、7/10に90,000円を納付しちゃっているいから、10,000円多く納税してない?と。
この場合、10,000円は翌年の上期(次の7/10納付期限)で10,000円少なく納付します。
また同じく90,000円納付するつもりだったけど、10,000円既に国に納付しているので80,000円の納付でOKとなります。
毎年このように、
① 従業員から所得税を預かり
② 企業が代わって国に納付し
③ 年末調整で精算し
④ 納付額調整する という流れを踏んでいくのです。
簡単な表現でまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?
税金の流れと、ちょっと踏み込んで仕組みを知るだけで、理解度が大きく変わるかと思います。