中小企業向けのお得な消費税の制度である「簡易課税制度」、飲食店を経営されている方でしたら耳にしたことがあると思います。
消費税は預かった消費税から、支払った消費税を引いて差額を納付するというのが基本的な考え方になりますが、簡易課税制度というのは「支払った消費税を概算で計算できる」という制度で、基準期間の売上が5,000万円以下の場合に選択することができます。
概算計算とは、店内飲食の売上は預かった消費税×60%、テイクアウト売上の場合は預かった消費税×70%を支払った消費税とみなす、ということになります。
※このパーセンテージは業種によって違いますので、これは飲食店のパーセンテージになります。
例えば、以下のような場合の例で考えてみましょう。(年間/単位:万円)
年間売上:1,000 内店内飲食売上800・テイクアウト売上200
売上原価:300
他経費:500(人件費200、家賃100、水道光熱費30、消耗品費10、交際費30、減価償却費100、雑費30)
利益:200
通常計算の本則課税と違い、簡易課税制度は仕入や経費の内容を一つ一つ確認する必要はありません。
簡易課税制度での消費税納付額は
預かった消費税:店内飲食売上800万円×10%=80万円+テイクアウト売上200万円×8%=16万円 合計96万円
支払った消費税:店内飲食売上消費税80万円×60%=48万円、テイクアウト売上消費税16万円×70%=11.2万円 合計59.2万円
預かった消費税96万円▲支払った消費税59.2万円=36.8万円
※消費税率10%の場合、テイクアウトは軽減税率8%で計算
通常計算の納付額
預かった消費税96万円▲支払った消費税44万円※=52万円
※仕入300万円×8%=24万円+他経費200万円×10%=20万円 合計44万円
※お酒の仕入は10%になりますが、ここでは割愛します
となりますので、通常の計算で計算した消費税納付額よりも、簡易課税制度を適用した場合、
52万円▲36.8万円 = 15.2万円少なく納付で済むということになります!
ただ、簡易課税制度の適用は事前に届出書の提出が必要になります。さらに一度簡易課税制度を適用した場合、約2年間は通常の計算方法に戻れません。大きな設備投資をする場合は損することもあるので注意が必要です。