飲食店における、Food(食材費)とLabor(人件費)を足したものを『FLコスト』と呼びます。
FLコストが、売上高全体の何%を占めているか数値にしたものが『FL比率』です。
飲食店経営において儲かるかどうかは、このFL比率のコントロールにかかっていると言っても過言ではありません。
ではまず、自店のFL比率を『(Food+Labor)÷売上高』の計算式で割り出してみましょう。
55~60%程度が一般的な目安といわれていますが、いかがでしょうか。
店の規模にかかわらず、70%を超える場合は赤字経営、つまり閉店の危機が間近に迫っていると見てとれます。
自店の『FL比率』が現在どのくらいなのか数値により把握することで、次に目指すべき売上高がわかってきます。
具体的な数字でシミュレーションをしよう
黒字経営を続けるための理想的な『FL比率』がわかったところで、具体的な数字でイメージしてみましょう。
月間売上が500万円のA店があると仮定します。
この店では、食材費200万円(F)、人件費150万円(L)が毎月かかっています。
先ほどの計算式に当てはめてみると、
・FL比率=(200万+150万)÷500万=70%
・Food=200万÷500万=40%
・Labor=150万÷500万=30%
という計算になります。
FL比率がすでに70%であるため、食材費と人件費以外にかかる経費は30%に収めなければ赤字が出てしまいます。
つまり、家賃、水道光熱費、消耗品費など、そのほか発生する経費をすべて足して150万円(売上額に対して30%)でなければならないのです。
家賃は売上額の10%程度が理想とされているため、仮に月額50万円とします。
水道光熱費の理想は全体の5%、つまり25万円。
残りの75万円から、そのほかすべての経費を充てることになるため、利益がほとんど見込めない状況になってしまいます。
FL比率が70%で月間売上が500万円の場合は、このような経営になりそうです。
また、現状の数字から目標とすべき売上高を算出することも可能です。
Fコストが月90万円、Lコストが月40万円かかっており、目標比率は50%としています。
・FL比率目標50%=(90万+40万)÷X ⇒毎月の目標売上高260万円
B店では毎週日曜定休としているので、月の営業日数は26日、つまり平均して1日10万円の売上があれば目標達成となります。
昨日が9万円なら明日は11万円、先週が50万円なら今週は70万円といった具合に、目標額を設定していきます。
そのために、どのような集客をし、どのようなメニュー開発をしていけばよいか考えていく必要があります。
もしFLコストに改善点があれば、食材費を下げたり、営業時間を見直して人件費を見直したりすることもできるはずです。
十分に目標達成していて、従業員の士気を高めたい場合には、逆に人件費のアップも考えられるでしょう。
目標に到達していて、なおかつ資金に余裕がある場合は、Fコストを高めて料理の質をアップすることで、客層を広げることも可能になるかもしれません。
多くの飲食店は、利益率がたった5%程度といわれています。
FL比率の重要さを理解して、黒字経営に向けて計画を立てていきましょう。