建物や設備の修繕について

飲食店を長く経営していると、内部造作の劣化や厨房設備の故障など、様々な場面で修繕に対して支出をすることがあると思います。節税という観点では経費にしたいところですが、建物に関する支出ですから、支出をした期にのみ使用するわけではないことから一旦資産に計上し減価償却によって数年に渡って経費にしなければならないケースがあります。
一度で経費にできる場合(修繕費)と、資産として計上し数年に渡って経費にしていく場合(資本的支出)についてご紹介いたします。

修繕費計上として経費になるケース

固定資産の修理・改良のための支出した金額のうち、その固定資産の維持管理や原状回復のために要したと認められる部分の金額は、修繕費として支出した時に損金算入が認められます。

★修繕費に該当する具体例

・老朽化した設備の復旧作業に係る支出
・部品の交換等、維持管理に必要な支出
・壊れた厨房機器の修理や壁の修理に要した支出
・テナントの退出時の原状回復工事に要した支出
・一の修理・改良に要した支出で20万円未満の場合
・おおむね3年以内の周期として行われる修理・改良

様々な事例があり上記の具体例に該当しても修繕費とならないケースも存在します。
例えば、故障している厨房機器を購入して使用できるように修理等を行った場合には、目的が厨房機器そのものの取得のために支出したものなので、資産として計上し、減価償却で数年に渡って経費としていきます。

資産として計上し数年に渡って経費となる場合

固定資産の修理・改良等が固定資産の使用可能期間を延長させ、又は価値を増加させるものである場合には、その延長及び増加させる部分に対応する金額は、資本的支出となります。

★資産に該当する具体例

・建物の避難階段の取り付け
・店舗から住居への用途目的そのものの変更のための支出
・修繕費に該当する具体例のうち、品質や性能が向上する部品の交換や耐久性が以前よりも増す素材による壁の修理等にかかる支出

判断がつかない時

一の修理・改修につき修繕費であるか資産となるか区分が明らかでないケースが存在します。その場合には形式基準として以下の取り扱いとします。ただし、あくまで判断がつかない時にかぎります。

1)その支出した金額が60万円未満のとき、又はその支出した金額がその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額のおおむね10%相当額以下出ある時は修繕費とすることができます。
2)法人が継続してその支出した金額の30%相当額とその固定資産の前事業年度終了の時における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費とし、残額を資本的支出とし資産としている時はそのような処理が認められます。

まとめ

建物等の修理・改良を行う場合にできるだけ早めに経費にして節税したい場合に、その支出が修繕費となるか、また他にも資本的支出に該当しないケースに限りますが本来資産計上しなければならない場合であっても、中小企業の少額減価償却資産の特例により全額経費計上できないかなど、同じ修繕目的の支出でも様々な方法で節税対応を行うことができます。

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